今回のクエストカフェ・インタビューは、サーフボードを制作するクラフトマン。サーフボード・ビルダーの関澤ヒデさんです。

いつもは、ヒデくんという仲なので、ヒデくんと言わせていただきます。ヒデくんは、一本、一本手作りでオーダーメイドのサーフボード製作するサーフボードビルダーです。今日、一般的なサーフボードはコンピューター制御の機械でフォームを削りだし、それぞれの工程で専門の職人によって加工されて製品になりますが、ヒデくんのように、すべての工程を一人で仕上げるビルダーは日本ではそんなに多くいません。

彼の板はとっても繊細で美しく、また、僕も愛用していますが、乗り込むごとに味わい深い、本当に素晴らしい板を作ってくれるクラフトマンであり、アーティストです。

また、サーフボードだけでなく、彼のサーフィンやライフスタイルへの向き合い方は、哲学と言うとちょっと固いけれど、彼流の生き方として、自分の世界を大切に生きる価値観は、とても共感するし、素敵だと感じています。

彼のサーファーとして、クラフトマンとして、また、自由に生きるアーティストとしての感性をぜひ、味わってみてください。

Contents

取材後記

自分の想像する世界がすべてじゃない

ワダ:
今回は、サーフボードビルダーの関澤ヒデさんに登場いただきました。前回は、ヒデくんもお友達のクマさんのインタビューで、サーフィン関連続きなのですが。。。笑 二人の感性は、サーフィンに興味がない人にも、いろんな面で伝わるものがあると思うので、ぜひ、紹介したいと思いました。よろしくお願いします。
ヒデ:
はい。よろしくお願いします。
ワダ:
ヒデくんは、サーフボードビルダーとして、板を削るところから、最後の仕上げまで一人で製作するっていう人は少ないんだよね。
ヒデ:
趣味で個人的に作っている人はいるかもしれないけど、仕事として製作している人は、多分そんなにいないと思います。僕が知り合った中ではほんの数名しかいないです。
ワダ:
やっぱり、オーダーしたくなる。そんな板を製作できる人自体ね、世界中探してもそんなにいるわけじゃないじゃない。サーフィンという世界も、ある種マイナースポーツだからね。そんな中では、ヒデくんのつくる板は、ひとつのスタイル、個性があるじゃない。それがすごく気に入ったんだけど。
量産品、既製品であれば、非常に性能のいい板はいくらでもあってね。
ヒデ:
そうですね、性能が良くて、結果の出ているモノを選ぶのは簡単なことだと思うんですよね。
ワダ:
今回、たまたま奄美のクマさんがふと僕の走りをみて、もっとこんな板に乗った方がいいんじゃないっていうのがあって、それでヒデくんを紹介してもらったんだけど。
実際にヒデくんと会って、話もそうだけど、板を見た瞬間にこれだなって感じて。
ヒデ:
嬉しいですね〜。僕の板に乗るのが初めてという方にお願いするのは、その人のサーフィン観なんです。
自分が気持ちいい乗り方、波の待ち方、全部トータルなんですよね。全部のバランスを考えて、その板との距離が近くて気に入ってもらえるように、僕は仕向けていかなければいけなくて。それをきちんと説明しなくちゃいけない。
僕がものすごい技術を持っている訳ではなく、すごく訓練された精度の中で何かをしている訳ではなくて、その時に起こってしまった結果をお金で買ってもらっているというか・・・。
まあ、信頼関係がなければ成り立たないことをやらせてもらっているという感じですね。
ワダ:
ヒデくんの板の個性って言うのはどうところだろうね。
ヒデ:
僕はたくさん波に乗せてあげたいんですよね。できればこの板で、たくさん乗れますようにっていうところから始める板だから。
もしかしたら、その中でたくさん乗れることが楽しくなっちゃって、僕と何本も何本も作っていけば、もっとハイパフォーマンスになっていくのが当たり前の世界で。
ワダ:
なるほどね。
ヒデ:
最初に、僕とシェイプ1本目でロビンさんと始めた時から、間違いなく1本目はあのようなおとなし目の板、あれはその中でも激しいタイプですけど・・・おとなしい板でどうですか?って。
色のことひとつとっても、二人で擦り合せないと、僕も気持ちいいもの作りたいし、お客さんもオーダーしているんだから、気持ちいいものできてくるの当たり前だし。そこをきちんと話したい。
だから今月納品するしないを、今思いっきり詰めるよりは、来月どうですか?って俺はすぐ言っちゃうんですよね。その結果、どんな板がいいのか、詰まっていくという・・・。
ワダ:
なるほどね。
ヒデ:
いくらでも二人が時間がとれて、納得いく道が見えるんだったら、その道を全部見たいというか・・。
ワダ:
例えばコンテスト系のボードだったら、ワールドチャンピオンシップクラスのところでいくと、結局、ベーシックなとんがったシェイプ(カタチ)になっていくというか。まあ、クルマもサーキットの性能を極めたら、F1になっていくようにね。。。
それが、サーフボードの頂点みたいな。だったらサーフィンって面白くないんじゃないかなって思うんだよね。
ヒデ:
そうなんですよ!
ワダ:
小さい頃からチャンスがあって、乗り込んできて、毎日のように海に入って、身も心もウォーターマンになっているような人が、例えばコンテスト(プロ)への道がある。そんな風になっていくじゃない。でも僕たちみたいに、物心ついてからサーフィン始めた人たちや週に1回2回乗る人たちにとって、ああいう板を乗ること自体が、F1マシンにいきなり乗れみたいなものでね。パドルにしてもパワーがないし、身体のつくりも、波への感性が違うよね。でも、それだけがサーフィンの世界じゃない。
ヒデ:
そうですね。
ワダ:
実は、全然頂点なんかなくて、自分がどんなサーフィンがしたいかとか、水と親しみたいかっていうところに、その人の頂点があるというのが、僕の世界だけどね。
ヒデ:
僕らは、日本の社会の中の概念でしか育てられていないから、どこかの国ではOKなこと、当たり前のような習慣でも、日本に来てそれをしてみたらビックリしちゃうことだったりとか、そういうことも起こり得るし、自分の想像する世界、枠の中がすべてじゃないって、いつも理解しとかなきゃいけないと思うんですよね。
「もっと自分に可能性や幅があるだろう」って思わないとね。
最近感じるのは、誰かが頑張っていたり、重いことばかりニュースで流れてくるけど、こんなこと起こってラッキーだとか、ハッピーだっていうニュースが流れてきた方が気持ちがいいと思うし、子供たち、これから育つ世代が、常に悲嘆していなきゃいけない世の中じゃなきゃいけないのか。自分にすごく幸せなことが起こっていても、幸せだって言ってはいけないのかって言うのじゃなくて、家族や親子のみたいなとこから始まるとしたら、もっとそこの部分を考える必要があると思うんですよ。
人って多分、ひとつ一つの環境を丁寧に築いていかないと軌道修正ができないし、そんな簡単に軌道は戻らないと思うから。
ワダ:
世の中の80%くらいの人たちが描いている世界観が今の日本なり、世界を創っていると思うのね。
サーフィンもそうじゃない。まったく孤高のサーファーの人もいるかもしれないけど、サーフィンを始めるきっかけって、誰か知り合いがやっているとか、そういうのが多いから、そうすると、そのグループなりチームなり、そこの文化がベースになるよね。
ヒデ:
間違いないですね。そこはね。
ワダ:
その時に、サーフィンの世界は特に狭いから、行きつけのショップとかに影響受けるし、そこで始めた若い子だったらそこの文化を背負うからね。前に誰かに聞いたんだけど、元々世話になったショップがあるから、そこで扱っている以外の他の板に乗れないって。
ヒデ:
そうそう。
ワダ:
ヒデくんの板に出会う機会って、そういう人にとっては小さな挑戦かもしれないしね。
そんな感じで、自分が憧れていたり、自分がやってみたいなって思うことに対して、もっと挑戦というか大胆であってもいいのかなって思うよね。
ヒデ:
ああ、思います。気持ちいいことしていいと思うから。しちゃいけないのかなというよりは、自分が率先して気持ち良くしていかないと、やっぱり周りも気持ちいい思いしてこないと思うんですよ。
僕が今ここで頑張るから、みんなで楽しい思いしてきてっていうよりは、一緒に頑張って楽しんじゃった方がすごくポジティブかなと。
ワダ:
自分の人生だからね。
ヒデ:
そうなんですよね。もっと、みんな楽しんだらいいと思いますよ。
ワダ:
自分の人生なのに、自分で自分を縛っているという人は多いじゃない。
ヒデ:
うん、やっぱり教育とか、文化もそうだと思うんですよ。これが常識だと思っていたことを、ちょっと俯瞰して見てみるというか。その囚われている本人を、ちょっと遠くから見てみたらすっごく面白くて、リラックスした自分がまた見えるのかなと思うんでうけどね。
やっぱり自分を外側からみるというか、自分を違った目線から見るって言うの、すごく大事にしますね。
ワダ:
別にこだわっている感じはないんだけど、でも普通の人が見るとヒデくんって、こだわりがあるって見えると思うんだけど。
ヒデ:
好きなものが詰まっているだけなんですけどね・・・笑
僕がこだわっていることは、気持ちいいこと。楽しいことをたくさんする。常に自分がそうするために生きるということです。だから、そんなに思いっ切りサーフィンのために備えるかっていうと備えなくて。
今もね、ここから海を見ていて、波が出そうだから早く行きたいなとか、割れちゃったらすぐ行きましょうみたいな、ただそれだけで・・・笑
海へ行くまでの歩く前後で、きちんと身体はあったまったり、ほぐされたり、筋力が保たれたり。
朝、ここの作業場までの1時間、山の中をガサガサ歩いてくることが、自分の中で準備が出来ているって信じ込める、それが辛いことではなくて、もうワクワクしながら山を登ってることで、その後のサーフィンのワクワクのためのウォーミングアップと筋力の維持ができている。
気持ちいいために何をするか、なるべく浪費や消費が少なくなるように、自分の中で動こうと合理的にしていくと、こうなるんですね。
その中でも欲張りですからね、色んな先輩に混ぜてもらったり、いい思いをね・・美味しいものを食べに行ったり。それが全部いいんですよ・・・笑
そうするとね、ここに遊びに来てくれた人もシェイプさせてもらってもいいいですし、飯食いに行ってもいいし、出会う人が全部やっぱ自分のためになるし、その人のためにもなれるというか。無理がないですね。作り置きしていないから。日本をつくっているように。
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いま自分が、幸せを選択できるかどうかが大切

ワダ:
月にサーフボードが「3本〜5本作れたらいいんですよね」って言ってたよね。それで自分が楽しいことしたいって、時間をできるだけとりたいっていうのもあるし、そういう事に巡り逢えたっていうのが素晴らしいよね。
ヒデ:
本当にラッキーですよ。何でこういう考え方になったかっていうと、時間の経過と共に、まったく違う人格、性格で過ごしてきていると思うんです。その時ベストな状況。その場所にいる時にベストな状況。パワフルに勝負する時は、徹底的に勝つように生きてきたし。
今はそういうパワフルな自分からみると、80%のトップを目指すのではなくて、数%の中で自分向きの幸せを追求しているという感じです。
ワダ:
自分に正直に生きる。
ヒデ:
そうですね。あの人は何かを持っているから幸せそうだっていうような中では生きたくないですね。
僕自身がいま幸せかを選択できるかどうかが大切で、その自由は奪われたくないです。
友達と約束する時も、その人がサーファーでなければ夜にしてもらって、昼間の波がどうなるかわからない時間は、必ず空けておきたい。
ワダ:
お客さんからのオーダーが、ツインフィッシュだったのをピンテールにするっていうのは、これはどうなの?・・・笑
ヒデ:
それが難しい問題で・・・笑 今日の一番のお題ですね。
ワダ:
ヒデ:
やっぱり調子乗ってるから。。。調子乗っている男っていうのは、人の話を聞かない訳じゃないですか・・・笑
あの件に関しては、そのオーダーくれた彼はロングボーダーなんですが、僕がツインフィッシュを乗っていたのを見て、彼も乗ってみたら意外に乗れて「ヒデさんこれオーダーしたいです」って言うので「いいですよって」。
でも、時が経ちながら、いざ削ろうかなって思った時に、彼はロングボーダーなので、短くて軽くて、スっとそれに乗れて感動したのはよくわかるし、それでいきたいっていうのはすごくわかるんだけど、そのロングボードから短くなるまでの時間を、そんなに急がなくてもいいのかなって思っちゃったんですよね。
僕と彼の関係と。別に1回2回で終わるような関係ではないっていう出会い方と、今までの話の中だったので。 それに、彼をビックリさせたいっていうのと混ざって、彼はこういうの乗ったら面白いっていうのを提案しちゃったんですよね。ピンテールで。
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ワダ:
提案っていうよりさ、勝手に作っちゃったんだよね? ピンテールで・・・笑
ヒデ:
そう!それで、僕の感覚として、もし彼がビックリし過ぎちゃったり、ツインフィッシュがいいからフィッシュにして下さいっていう感じだったら、そのつくった板は、僕が乗ってもいいっていう思いなんですね。
ワダ:
お金いらないからみたいな。
ヒデ:
そうそう、ロビンさんの板も、渡す時点で「いやあ俺これ乗れなさそう、参ったな」っていう感じなら、僕が乗るから、もう2ヶ月待ってもらってもいいですかっていうくらい、どの板も僕は乗りたいんですよね。
ワダ:
なるほど。
ヒデ:
結局彼は「最初、ビックリしすぎてわからなかったけど、今はもう嬉しいし、ワクワクしちゃってどうにもならない」っていうことを言ってくれて。
ワダ:
ヒデくんの板は個性は強いけど、どれも魅力的だからね。まあ、コミュニケーションも必要だと思うけど。。。笑
ヒデ:
人と人はやっぱり、直接目の前で話したことが全て、ニュアンスから受け取り方から感覚、全部が摺り合わされる状況かなって思うんですよね。
僕が作ったものがその人に届いているけど、本当にその時にその人を考えて作ったものだから、そうなっちゃうんですよ。
ワダ:
僕はね、色のことひとつとってもそうだけど、カタチも、途中からどうでもよくなっちゃってね。
ヒデ:
あはは・・・笑
ワダ:
自分でいくら考えてたって、ヒデくんの板はそこを超えているという確信があったから、そこはもう任せちゃおうって。ただ、なんか気持ちだけは、こんな感じがいいんだっていうのだけを伝えとけばいいやっていうような。
ヒデ:
うん、そういうことだったんだ。なるほどね。
ワダ:
逆にそこで出てきたものを乗りこなしてみるのも、そこも面白みだから。そういう付き合いができるようなお客さんとやっていきたいなって。実は僕もデザイン会社やってるわけだけど、ある意味そういうところがあって、だからといってそうじゃないお客さんはもう来なくていいよっていう意味じゃなくて、共感のつながりしか難しいよねってことで。
ヒデ:
その通りですね。僕らもそうですね。なるべく近づけるように努力もしていますし・・・僕なりに。
ワダ:
事前の摺り合せのコミュニケーションが大事だよね。
ヒデ:
そうですね。
ワダ:
結局、生きることって、誰とどんな世界を作りたいかが重要だと思うんだよ。ヒデくんが言うところの「気持ちいいこと、楽しいことだけを選択していきたい」みたいな。
それと同じで、やっぱり自分の環境とか生き方とか、スタイルとか、自分がどんな世界にしていきたいかってうことを実現していくことだけど。
今、子供がいて、奥さん、家族がいたら「あなたちょっといい加減にしてよ」とか「また〜なの?」って言われがちな人も多いよね、僕も言われたりするけど・・・笑
でも、いつも応援してくれていると思う。こういう生き方しているんだからね。
そういう意味でも奥さんは、もともとヒデくんのそういう生き方が好きだから一緒になったんだと思うし・・・。
ヒデ:
もう全く違う生き物だと思って見ているんでしょうね。理解が全くできないと思いますよ。
ワダ:
そうなの?笑
ヒデ:
それで、任せっぱなしみたいな・・・笑
好きなようにやってください、特に何も心配しませんみたいな・・・笑
ワダ:
ああ〜なるほどね。でも色んな面で尊敬しているんだろうね。今日チラッと会った時に、そういうものを感じたけどね・・・笑
ヒデ:
あはは・・・笑
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感動させられるくらい、美しいものを作りたい

ワダ:
ヒデくんが作るサーフボードって、ちょっと普通の作り方とは違う。ただ、オーダーメイドで作るという以上に、できるだけ直接会って、できれば一緒に海に入って、そして、その人の乗り方とか、その人の人柄とか、人生観の話も聞いて、その人丸ごとを込めた一本、一本を作りたいっていう思い。そんなビルダーっていうのは、なかなかいないと思うのね。
ヒデくんの作る板は本当に美しくて、どれもクラフトっていうよりも、そのクオリティはアートに見えるわけ。ちょっと持ち上げすぎかなぁ〜。。。笑
ヒデ:
上げてください・・・笑
やっぱり感動させられるくらい「美しいものを作りたい」って思いますよ。
見た時に鳥肌が立つって言ってくれる方もいるし、常にそれは目指したい、ゾクゾクさせたい。それくらい刺激的なものを作りたいですね。
ワダ:
さっき、板を削りながら、すごくいいこと言ってたよね。手で板を撫でて、形を確認していく作業を繰り返しながら。手が水であって、手を流していくと水の流れをイメージできるっていう。
ヒデ:
水がどう流れるのか、どんな風に走るのか、触りながら確認してます。
ワダ:
サーフボードを作るっていうより、飛行機を作っているようなつもりでね。
ヒデ:
流れをすごく大事にしたいですね。板を削るというよりは、流れをカタチにしていけばいいかな。
ワダ:
機能美っていうのは、非常に美しい物になっているよね。
ヒデ:
本当に大切ですよね。やっぱり、両方兼ね備えて抜群なわけですからね。
ワダ:
例えば、大手のメーカーで作るサーフボードでは、それこそ3Dのモデリングのコンピュータソフトとかでテストして出来上がっているものもあるじゃない。
ヒデ:
その中でも面白い人がいて、コンピューターから作っちゃうシェイパーもいるんですよ。
ワダ:
そうなんだ。
ヒデ:
その人なんかコンピュターで、マシン作るところから始めちゃうから、それはもう、その人のシェイプですよ!
ワダ:
へえー。
ヒデ:
だから僕たちがカンナ使っているのと同じように、その人はコンピューターでカンナ使っているんですよ。
ワダ:
マシンシェイプだね。
ヒデ:
そう、そこもすごいことなんですよ!
だから、もし自分が、何かものを手に取る時に、どうしてこれが生まれてきたかってところをちょっと考えてみると、ただのマシンシェイプだからこうだとか、そういう部分は全くない。
僕がここでサーフボードを作って生きれてるっていうのは、サーフボード屋から見ると「アイツはおそらく邪道」であって「流れの中にいなくて」「礼を尽くしていない」のかなって、僕自身はちょっと申し訳ないなっていう気持ちもあるんですね。先輩たちの流れの中できちんとご挨拶して、先輩たちがきちんとやってきたからこそ、僕らサーフボード業界がまだ残っているっていう部分を忘れてはいけないと思っていて。
だから、一概に僕自身がやっているこの世界観だけがトータル的にOKであっているよっていう考えは全くなくて。
ワダ:
うん。
ヒデ:
大量生産で生まれて来る物の中にも、本当に素晴らしい物、大量生産の回数を重ねるからこそ美しい技術で、職人技で出てくるサーフボードもたくさんあって、日本の大きなサーフボード工場が作る板は、クオリティ、品質っていったら、本当に素晴らしいですよね。
ワダ:
それはそうだよね。
ヒデ:
見ていてすごく勉強になります。だから、僕は以前の会社を、すぐに独立したいとかというよりも、いっぱい勉強させてもらいたいなっていうのがありました。
日本の作るサーフボードの最高品質、それを見れたのは、僕にとってはとてもラッキーだったから、僕自身がそれ以上をって、いつも思いたいんです。もっとって。
ワダ:
なるほど〜ところで、ひでくんはアートも好きだよね。
ヒデ:
好きですね。
ワダ:
写真とかもすごく綺麗だしね。
ヒデ:
好きっていうか、やっぱり綺麗に撮りたいって思うんですよね。だって肉眼がパーフェクトなわけじゃないですか。カメラっていう機械の中に入れる時に、僕の中でその時できる最大限、この状況でできる一番きれいだなって思えるような色にしたいんですよね。
ワダ:
ブログの言葉もいいじゃない?自然な言葉で綴られていて。
ヒデ:
まあ、書いたり消したりしながらですけど。過激すぎるかなーとか。
ワダ:
切り取り方がね、ちょいちょいおしゃれだよね。
ヒデ:
そうですか・・・笑
ワダ:
ヒデくん見てるとね、人生において不要なものはできるだけ身につけないようにしてるのがわかる。
ヒデ:
持ちたくないですね。全部きちんと使っていると思います。遊ばせてもらっている海も、波があれば失礼のないようにきちんと行きますよ。
ワダ:
ヒデくんがパドルアウトすると、来た波にいきなり乗るよね・・・僕なんかはアウトに出たら、出て行ったらいきなり乗るよね・・・笑 まず一回休憩しないと腕回らない。。。
ヒデ:
笑・・・あれは儀式です。海に敬意を込めて、一番最初に来た波を、それがどんな波でもいただく。それでその日のどんな波を味わわせてくれるのかを感じるんです。そのために海に入ったときの儀式として、本当に大切にしています。
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昔からやってることは変わっていない

ワダ:
今のようなライフスタイルに至った経緯というのは、どんな感じだったの?もともと、ここ秋谷が地元だよね。
ヒデ:
そうなんです。結構、ここに移住してきたのって、割とそう思われるんですけど、ただ生まれ育ったからここにいるんですね。
ワダ:
子供の頃から波に親しんでた?
ヒデ:
大好きですね。もう。今僕がやっていること、子供の頃と形は変わっているけど、海で遊ぶ、早く寝る、欲望のまま、お菓子大好き。
だから僕は子供ですよ。ずっと自分には子供をもつことは無理だって思っていたんです。ただ子供を持ってみてわかったことは、全然子供じゃなくなっちゃってたんだなって。
自分自身が純粋に楽しむことを忘れていたし、規制の中で、誰かがどう見るかっていうことを気にしながら生きようとしちゃってたと思うし。まあここ5、6年ですね、もっと開放的に自分を客観視できるようになったのは。子供ができてからかな。
ワダ:
うん。
ヒデ:
その地域で、子供が近所のおばさんたちに温かい目で見守ってもらえる目を、そういえば自分も子供の時にそうやってもらっていたなと思って。なんか怪我して泣きながら帰ると、漁師のおばさんがどうしたのっていつも声かけてくれていたし、友達がテトラの中落っこちて死にかけて、漁師さんが竹竿持ってきて、引っ張り出すとか。
もうみんな近所の人間が、大切にみんなが子供たちを見ていたと思うんですよね。大切にっていうのは、それはかわいがっていたっていう意味ではないですよ。子供はそういうものだから、何かあったら自分たちがって、もっとどっしりしていたと思うし、男らしかったと思うし、女らしかったと思うし。
ワダ:
うん。
ヒデ:
今はね、自分たちが生きていくために、いかに安い衣料品を手にして、いかに安い食材で早く済ませるかっていうのと対局に、時間をかけて野菜を作ってみると、お百姓さんすごく大変だっていうことがわかって、別に100円の野菜じゃなくてもいいじゃないかって思ったり、その人が、それだけコツコツとやった物に対してお金を払わなきゃ自分に還ってくることはなくて、ちょっとまけてよ、これ100円でしょう、俺80円しか持っていないからいいじゃん20円って言ったら、絶対自分もそれ同じことをされる、順番が回ってきちゃう。
それよりは、農家さん、漁師さん、それを扱って売っている人、そうやって生きている人たちが気持ちよく稼いだ方がいいんじゃないかって。
ぼろ儲けさせようっていうんじゃないんですよ。人に対価を払いたいっていう・・・
ワダ:
なんか疑心暗鬼になっているよね。お店いったら高く売りつけられるんじゃないか、だから、最初から監視しておかなきゃいけないみたいな・・・
だから安くしてよとか。本当にその人が安くしてるってわかれば、はいわかりました、。じゃあこの値段でってなるわけじゃない。アジアとか行くとさ、絶対100%ボってくるから、出される値段にディスカウント要求していくのが当たり前みたいなさ。
東南アジアなら平気で10倍くらい吹っ掛けてくるから。普通に考えてもこの布が日本円で計算したら5000円くらい、500円だったらまあまあって感じなんだけど、普通にみて日本的な感覚でこれ1500円くらいかなっていう雰囲気が、日本に持ってきたとして2500〜3000円くらいで売っていても、まあありかな・・くらいの。
それを向こうの子供が、平気で日本円で5000円って言ってくるわけ。コイツら!って・・・笑
まあ、文化だけどね。。。笑 腹を立てることはないけど・・・
それは大人であっても可愛げがある。日本人だからそのくらい。だから最初から10分の1の金額を言うわけ。そうしたら向こうもイヤイヤって。こうしてリレーションしながら金額が決まるわけ。だから1対1の市場だよね。
ヒデ:
セリだ!・・・笑
ワダ:
でも市場もさ、騙そうとして高くボって売ろうとしているわけじゃないじゃない。適正価格をみんなで設定しいるだけだから・・
ヒデ:
そうですね。
ワダ:
適正価格っていうものがこう・・・適正って何?みたいな、ものが見えにくくなっているかな。
ヒデ:
なんでもガッツリとし始めているんだろうな。買い物ひとつとってもね。
ワダ:
この間もあったよね、食品偽装みたいな。
ヒデ:
あった、赤エビかブラックタイガーかみたいな。
ワダ:
バナメイエビだっていいじゃんみたいな。
ヒデ:
この間赤エビ食ったら旨かった!
びっくりした美味しくて。何ですかって聞いたら赤エビだって言ってた。
ワダ:
だいたいエビは旨いんだよね。
ヒデ:
そうですね。
ワダ:
いずれにしても、流通にしても社会にしても、人間関係にしても、昔はそういう地域とかでお互い知り合っていたから、何らかの信頼みたいなものがあったと思うけど、どこか見えにくくなっているんだよね。コミュニケーションとか、そういうものを自分の中でもう一度再構築していかなきゃいけないような気はしているけどね。
ヒデ:
昔っからやっていることは、変わっていないっていうことですかね。
ワダ:
ディックブルーワーで働いてた時は、湘南に住んでたの?(ディックブルーワー:レジェンドサーファーであり、世界的に有名なサーフボードビルダー、メーカーの日本の製造所)
ヒデ:
いえ、ずっとここですよ。僕一度も他に住んだことないんです。
ワダ:
じゃあ、会社はここから車で行けるような距離だったの?
ヒデ:
そうですね。40〜50分くらいです。
ワダ:
へえ、じゃあずっとここにいるんだ!
この環境はみんな羨ましいと思うよ。それは出る理由がないよね。
ヒデ:
その通りですね。別に他の刺激には向いていかなかった。
ワダ:
サーファーならサーフトリップに行きたいとかあるじゃない。
ヒデ:
ないな〜・・・笑 島に住みたいとかもなかったな。
ワダ:
例えばさ、もうちょっと波がいいとこがいいとか・・
ヒデ:
ああ、全くないですね。波もあったら入ればいい。追いかけ回さないです。
ワダ:
ここもいろんな波がコンディションによって上がるよね。
ヒデ:
そうそう!それを楽しむんですよ。
ワダ:
じゃあ与えられたものを楽しむ。いただく・・・
ヒデ:
待っていた方がいいですよ。自分からどんどん行くと余計なものもくっついてくる。
ワダ:
なるほどね。僕たちはね、岡山で瀬戸内だから波もないからね。
ヒデ:
その中で普通にやることを気持ちいいようにやって、それで気持ちよく終わるわけじゃないですか?
僕はせっかくこんないい所があるのに、わざわざどこかに出て行ったら邪魔ですよ。
「お前あそこでサーフィンしているんだから、いいよ来なくて」って言われちゃったらどうしようみたいな。
それと、もしどっか探しに行く約束とかしたり、探しに行っている時にここで波があったら、そんな悲しいことないんですよね。
ワダ:
まあそうだね。
ヒデ:
そう、大好きでいつもここで待っているのに、ちょっと浮気したらいなくなっちゃったみたいな。
ワダ:
あとホームグラウンドって、そこでサーフィン覚えたっていうのもあるから、波の状態や環境をよくかわかっているから、全然怖くないじゃない。でも初めての所に行くとカレントとかコンディションがわからないじゃない。
ヒデ:
カレントはちょっと怖いですよね。でっかい波の時はやっぱりね・・・
ワダ:
そこを含めて、やっぱり初めての時って一発目じゃわからないじゃない。俺もここ入って、どれに乗ったらいいんだろう、この波って・・・笑 思ったもんね・・・
あの日は特にひどかったけど・・そういう意味ではね。
そうやって与えられたものを味わい尽くすっていうのを自然にできているっていうのは素晴らしいね。
ヒデ:
皆さんのお陰ですよ、結局。
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波があれば工場には誰もいない

ワダ:
高校生の時はアメフト?
ヒデ:
高校と大学アメフトやっていたんですよ。すごく調子に乗っていて。
ワダ:
高校はこの辺の?
ヒデ:
横浜高校ってこの近くの、40分くらいです。
ワダ:
強かったの?
ヒデ:
まあ割と・・・神奈川県で16校しかないんですけど、その中で3番目とか4番目くらい。
ワダ:
なかなかだね。どこの高校にもアメフトのチームあったわけ?
ヒデ:
そうですね。
ワダ:
岡山はそんなないと思うな。
ヒデ:
関西はありますよ。中学校からあります。
ワダ:
アメフトではどのポジションを?
ヒデ:
高校生の時はキュービーって投げる奴、大学生なってからは、横で走ってボール撮る人の邪魔をするヤツ。高校の時もやっていたんですよ、そっちのほうが目立ちすぎなくて、洒落ているんじゃないかみたいな・・・笑
ワダ:
体格そんな感じだもんね。
ヒデ:
入りたかった大学の先輩からも「お前だったら、やったら全日本に入れるくらいになるんだぞ」って言っておだてられたら、こっちはフワ〜ッと舞い上がちゃって、その勢いでやらせてもらって。
でも1年生の時に怪我しちゃって、そこからガラガラガラっと崩れちゃって・・でもそれが良かったのは、もっと自分自身を見るようになったというか、周りからこう見られるよりは、自分がどうあるか。多分かなりシフトしたんじゃないかなって思うんですよね。
ワダ:
それまではイケイケで?
ヒデ:
イケイケですよ・・・笑、調子乗ってますもん。
何でも上手にできる気がしているし。その代わり頭悪いですよ、バツグンに。悪いからこそ、そこをもっとポジティブにみたいな。
ワダ:
アメフトでレナウンだとか行けるんじゃないかとか・・・
ヒデ:
そうそう、そうですよ、そのつもりでいたんですもん。で、安泰。小学校の時からサラリーマンになりたかったから。
ワダ:
そうなんだ〜それがカラダ壊して・・・
ヒデ:
そうですね、怪我したらもう精神的にも全然萎えちゃって、サボりぐせ、逃げグセがついたんでしょうね。逃げですよ。逃げになると全部人生・・というか、生き方的に負の方に向くから。出来事もあまりいいことなくて・・・
ワダ:
じゃあ大学時代は、結構苦悩したの?
ヒデ:
3年生の時に逃げ出そうとして、逃げ出せなくて。
ワダ:
逃げ出すってどういうこと?
ヒデ:
もう辞めますって。でも、できなかった・・・笑 みんなに迎えに来てもらっちゃった。やめさせねーぞみたいな。
ワダ:
頑張ろうぜみたいな。
ヒデ:
そうそう・・・笑 みんなそう思ってくれたのかな・・・辞めることはないだろうって言ってくれたんでしょうね、みんなやさしいから。
ワダ:
その頃もサーフィンはずっとやっていたの?
ヒデ:
サーフィンは中2からです。
ワダ:
波があれば乗っていた?
ヒデ:
そうですね、怪我したから病院行くってウソついてサーフィンしたり。まあそういうふうに。
今はもうウソつく必要は全くないから、サーフィン行きますってそれでいいから。そんな生き方のほうがいいなって。
ワダ:
それでも大学出てからはどのような感じで?
ヒデ:
アメフトのみなさん、3年生の時に就職活動始まるんだけど、それこそ就職活動してきますって言ってサーフィンしてるみたいな。
ワダ:
それからディックブルーワー?
ヒデ:
そうですね、ディックブルーワー入ったのは、大学4年生の時に、もう1月に4年生の選手生活が終わるから。僕は何にも考えずに12月の末に終わって、板が壊れたから修理の道具を買いに行ったら、最初の店はなくて、・・  それで、もう少し遠い店に行こうってことになって、弟と一緒に行ったら「ヒデこれから何するの?」って。
「僕は大学終わったから、インストラクターでも体動かすような仕事でもしようかなって思ってるんです。来週面接なんです」なんて言って。
そしたら「今サーフボード屋のブルーワーで、人探してるから、ヒデ行ってきたらいいよ、一応行ってきてみたら?」って。
それで、工場に行くのは2回目だったんですけど「初めまして」って社長に言ったら「なんだ、2回目だろ」って。「ああ、覚えてるのかな」なんて思いながら・・・「明日から来れるか」って。「あ、何にもないから来れます」って。そこから始まって・・
もうただの見習いですよ。それで始まって、コツコツと・・ああ、お金ってホントもらえないんだなって思って。
ワダ:
やってみると、面白いなって思い始めたの?
ヒデ:
最初はもう最悪です。仕事を終わらせたいから一所懸命仕事しているじゃないですか。
ワダ:
それはあんまり興味なかったっていう感じ?
ヒデ:
興味というよりは、サーフボード屋として入ったからにはきれいに早くやりたいなっていう方の気持ちで、流れ作業を受けて、もう日々みんなのスピードに合わせられない。遅い訳じゃないですか。
ワダ:
うん。
ヒデ:
ガーっとやってるうちに先輩たちから「お前一人で仕事しているみたいにいい子ぶってんじゃねーぞ」みたいな。
「波あるんだから、サーフボード屋なんだからサーフィンしろよ」とか言われて。今だったら当たり前のことなんですよ。その通りだなって思うけど、その当時はもう必死でテンパってるから「いやいや何言ってるの、仕事は今、仕事しろって言われている時間の中で、今やらないと12時、1時みたいな時間になっちゃう」って。
そのうち仕事の段取りがつけ始められるようになると三分の一の時間で終わるような作業が多いから。そこで時間作れるようになって、朝早めにサーフィンしてから仕事行って帰るとか。
ワダ:
さすがにサーフ業界だね。その辺の自由はあるんだね。
ヒデ:
波があれば工場に誰もいないと思います。社長しかいない。社長が誰もいないって怒っていると思います・・・笑
ワダ:
笑 それこそパタゴニア会長のイヴォン・シュイナードの『社員をサーフィンに行かせよう』って本があるけど。
ヒデ:
行っていますよ、勝手に。行かせないようにしても行ってると思います・・・笑 だって、みんないつの間にかいないんですもん。なんか静かだなと思うと、各々出て行ってるんですよ。
ワダ:
そういう感性から、いい板ができるわけだから、大事だよね。
ヒデ:
そうですね、やっぱり乗ってる人が作るんだからいいですよ。だからブルーワーさんが板業界の不景気って言われている中でもやっているっていうのは、やっぱりいい物作っているからだと思うんですよ。それが伝わっているんだろうなって。
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原点回帰して、与えられたもので楽しむ

ワダ:
最後になるけど、今後の展開について聞かせてもらえますか?
ヒデ:
僕はまさに、本当にシンプルに、常に原点回帰して、与えられたもので、すごく楽しまなきゃいけないなって。
絶対その原点っていうのは忘れる訳じゃないですか。でも思い出すように心掛ける。
1対1で、ここでサーフボードを作らせてもらった時の大事な頃のお客さん達のことを忘れない。そこからもう一度始めているというか。
すごく人数が増えて、数が増えてはいるんですけど、でもその皆さん、一人ひとりを必ず思い出すようにして。
やっつけ仕事をしているつもりはないのでね、正面切ってその人たちが見れるというか、何度でもありがとうございますって、その人たちがいたから、今こういう素敵な仕事ができていますってことを言えるように考えているんですよ。
ワダ:
なるほどね。これからもこういうスタイルを、より質を高めて・・・
ヒデ:
もっと質を高めたいですね。世界の感度のズバ抜けている方たちが僕の作った板を持つ機会があるなら、その人たちが絶対欲しいって思ってもらえるような。
ワダ:
本場カルフォルニアや海外からヒデくんの板に乗ってみたいっていう注文がくるね、きっと。
ヒデ:
そうですね。その準備というわけではないですけど、2月にはドイツで雑誌に載せてもらうきっかけを、寺内さんっていう日本のカメラマンがつくってくれて。
表紙は寺内さんが撮った僕の写真になるんじゃないかっていうところまでなっていて、そういう異国の地で、僕がわざわざ行かずに雑誌だったりインターネットだったりで、人が気にしてくれるくらい、もうちょっと精度を高めていきたいと思っています。
ワダ:
ずっとイメージしているんだけど、サーフ業界じゃなくて、全然違う分野でクラフトマンとして取り上げてほしいなって思っていてね。
ヒデ:
一緒に関わる人が真剣であれば、どんなメディアだろうがチープだろうが、もう人ですよ。真剣だったら僕はどんなところでも会いたいし。
ワダ:
イタリアのデザイン雑誌とかいいね。。。
ヒデ:
それもコツコツとイメージさせてもらって。
ワダ:
僕もこの2014年からのこれからの10年って、すごい展開が起こるんだろうってイメージしていて、まあ、いろんな出来事が起こるだろうけど、この10年楽しんで生きていきましょう!
ヒデ:
はい、楽しんでいきましょう!
ワダ:
今日はいいインタビュー、ありがとうございました!
ヒデ:
ありがとうございました〜!また、いい波乗りましょう!
* 制作協力 : 藤田明子
▼ 掲載されたドイツの雑誌
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【取材後記】

ヒデくんはアーティストである。アーティストと一言で言っても、それは思いっきり幅があるんだけど、その自由さという意味では、彼はアーティストらしいアーティスト。そして、仕事の仕上げ方は、クラフトマンである。クラフトマンは妥協しない。仕事はキッチリやる。自由さとキッチリ。この矛盾しそうなところがうまく融合して、関澤ヒデというサーフボードビルダーは成り立っている。

ヒデくんと話していると、ちょっとませた小学5年生という感じがして、波が立つと遊びたくて仕方なくなり。いつも海の様子から目が離せない。そして、例えば、小さな頃から絵を描くのが好きな子供が、5年生くらいになったら、造形力も付いてきて、自分なりの美に対する表現ができるようになり始め、いろんなものを描いてみたくなる。そんな好奇心が旺盛な年頃・・・そんな少年が潜んでいて、時折顔を出すのだ。

ものづくりは楽しい。僕も、デザイナーの端くれだから、制作の大変さと同時に、いいものが仕上がったときの感動もよく分かる。大好きなサーフィンのために、その大切な道具であるサーフボードを、いつか自分で作ってみたい。ヒデくんのように、仕事にするには、それなりの苦労もたくさんあるだろう。

サーフボードというのは、サーフィンをやらない人から見れば、どれも同じように見えるかも知れないけれど、長さも、カタチも、厚みも、それぞれに違って、サーフィンの技術が向上すると、カタチのほんの少しの違いでも、ぜんぜん違う乗り味を理解できるし、また、乗りやすい板、乗りにくい板が別れてくる。自分に合った板と出会うには、サーフィンの経験と乗った板の数が大切。お金もかかる。

僕は、これまで、いろんな板に乗ってきたけど、自分に合った板はこんな感じだなって信じてきた板があった。もちろんそれを気に入っていたんだけど、この歳になって、体力や乗り方も変わってきたんだろう・・・サーフィンや板に対する考え方を根本から見直した。

今回、ヒデくんと相談して、彼に板をオーダーした。そして、想像以上に、自分のカラダ、乗り方の合った板ができた。それだけじゃなくて、やっぱり、彼のサーフィンやサーフボード作りに対する哲学が、僕に合ってたんだろう。キレキレにアクションを追い求めるのではなくて、波とひとつになることを目的とする。そうして、いかに気持ちのいいひとときを得るか。。。ヒデくんの板はそんな板だ。。。

板の特性、性能だけじゃなくて、ヒデくんの板は本当に美しい。。。愛着が湧くというのは、やはり、本当に気に入るものじゃなければだめだ。オーダーの良さは、そうした自分の好みを反映させられるところ。自分がどんなものが欲しいのか、その自由度があるから、自分に責任もあるし、また、その自由度故に、迷うこともたくさん。後悔したくないと考えすぎると、いつまでも前に進まない。。。だから、ヒデくんには、僕の乗り方を見てもらって、僕のサーフィンに対する姿勢や思いを語り合い、そして、こんな板が欲しい。。。そんなところから彼のインスピレーションにスイッチが入り、板のイメージができあがる。

物事は何でもそうじゃなきゃいけない。適当に、闇雲に、何かポンと生まれたり、出されるのではなく、丁寧に、大切に、創造する。。。

そんな物づくりのこだわりや大切さ、生き方をヒデくんからは学ぶところが大きい。。。

ヒデくん、これからもいい板をいっぱい作ってください。そこに、オーナーの喜びがいっぱいあるね。。。

関澤 ヒデ プロフィール

サーフボード・ビルダー

こつこつ技術と気持ちを重ねて15年

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