資本主義というベクトルを別の方向に変えていかなくてはならない。

ワダ:
今日は、ネットで募金できるクリック募金やオンラインでの署名サイト、また、現代世界が抱える問題について扱う映画の配給をされているユナイテッドピープル株式会社の代表、関根健次さんにご登場いただきました。今日はよろしくお願いします。
関根:
よろしくお願いします。
ワダ:
ユナイテッドピープルでは、クリック募金のサイト、イーココロやオンラインでの署名活動ができる署名TV、そして、最近では、映画の配給も活発にされていますが、具体的にどのようなことをされているのか、教えてもらえますか?
関根:
そうですね、簡単に会社の説明をすると「人と人を繋げて、世界の課題を解決することをミッションとしている会社」がユナイテッドピープルです。
ユナイテッドピープルという意味は、その文字の意味の通り人と人を繋ぐこと。これはもともとは国連をもじったんです。ユナイテッド・ネイションズ、国益と国益の関係性の中ではどうしても対立が生まれてきますよね。その国益を前に人が、市民が犠牲になっていく。その国のベースをとっぱらわなければいけないなと思いました。
それで最小単位の人まで落としていって、国を超えて国籍を超えて、宗教を超えて肌の色を超えて、考えの違いを乗り越えて。様々な違いを乗り越えていって、共に世界の課題解決をしていこうと、そういう想いを込めてユナイテッドピープルという会社名にしました。だから、それぞれやっている募金のサイトも、署名のサイトも、映画も、人が集うきっかけになるんですね。
クリック募金も1日1回までクリックすると1日1円が募金できるんですが、これに多くの人が参加して、1万人が参加すれば1万円になる、100万人なら100万円になるんですね。みんなの力で地雷除去活動と植林活動とか、食糧支援とか様々な形で、みんなの力で、社会課題を解決していこうというシステムなんです。
署名活動も同じようなもので、一人の声ってなかなか社会に浸透しにくいんです。それが1,000人、1万人、10万人になると聞こえる訳ですよね。無視できないボリュームになってくる。それを「メガホン効果」と呼んでるんですが、1万人の声って遠くまで届くんですよね。みんなの力が集まった時に使える力なんです。
映画は人が集うきっかけになるということです。集まった人たちが一緒に議論して考え、未来への解決策を見出していったりとか、行動を起こしていったり、そういう意味でここ最近は注力をしています。
映画をきっかけに署名活動しましょう、寄付しましょうとか。映画という映像の力やストーリーの力を使って、人の心に触れ、人に感動を与えて。そして感動を覚えた人たちが次のアクションを起こしていく。疑似体験、原体験作りです。人は何か行動をしたり人生の目的を決めたりとか、何かするとそれが必ず原体験になっていく。映画ってそういうことができるものだと思うんですよね。
ワダ:
なるほど。クリック募金について知らない人が多いと思うんですが、もう少し詳しく教えてもらえますか。
関根:
例えば、テレビは無料で見れてますよね。なぜかというとスポンサーが存在しているからです。それと同じように、ネットで企業活動の情報を見ることによって寄付ができてしまうというものです。我々のクリック募金というのはそういう商品の窓口として、いろんな社会の現実を知るということをしながら寄付もできている。通常は広告で終わるんですが、それで終わらずに、スポンサーが実際に寄付をしてくれているんです。手数料をもらっているので、寄付金を生み出しながら、手数料でサイトを運営してるってことです。
ワダ:
クリックして、スポンサーのページの情報を見る。そのクリック数に応じて、例えば1万クリックあったら、ワンクリック1円として、1万円分の広告料を払いますよということをスポンサーが決めているんですよね。
関根:
その通りです。クリックをして何かができるんだと。それはユーザー側もそうですし、スポンサー側もこういうかたちで、社会に会社の活動を知ってもらえる手段が、クリック募金にはあるということを知ってもらいたいですね。
ワダ:
今起こっている社会の問題に対して、多くの人があまり関心事を寄せないのはなぜだと思いますか?
関根:
マスメディアの責任もあるとは思います。テレビを見る時間を調べればすぐわかるんですが、日本人が4〜5時間ですかね。減ってはきているようですが、少なくとも1日の中でかなりの割合を占めているんです。ある人は通勤時間にラジオを聞いたりしますので、それを加えるともっと増えますよね。
特に、テレビが与える影響というのは絶大だと思います。そのテレビが与える影響は何かと考えると、ひとつはコマーシャル、もうひとつはテレビ番組です。コマーシャルについて言えば、もう買う必要がないものを買いたくなるようにさせるのがコマーシャルです。だから簡単にいうと、モーニングコーヒーというCMがあったとしたら、朝コーヒーが飲みたくなると。そういう名前が付いているだけでそう思う訳でしょ。それをたまたま朝見てしまうと、CMを連想して買ってしまったりだとか。本当は必要なかったものを買う。その行為によって新たな資源が使われていく。そんなことが蔓延して、せっかくの労働の対価が、本当は無駄なことに使われているかもしれない。それがロジック的に、あまりにもマスメディアに触れすぎているとマインド・ポリューション=心の汚染に繋がってしまうわけです。
後はテレビ番組ですね。マスメディアの中のジャーナリズムの役割って、社会で起きてることを伝え、社会が、例えば政治がどうなっているか、政治や企業が不正を起こさないようにとか、新たな交通事故が起きないように気をつけましょうとか。役割はたくさんあると思うんだけど、それがどうもバラエティー化してしまっている。
ニュース番組も民放の番組が報道バラエティーというジャンルになってしまっていて、視聴率主義になっている。その中で我々が接するニュースは、火事がおきました、殺人事件がおきましたとか、視聴率を高めるためにどのニュースが必要かという前提で番組構成をされるので、この社会を良くしていくには、これを見ている人たち(子供たち)の成長とか、その前提が逆転してしまっているんですよね。
視聴率を元にするとは、CMがあってスポンサーがいて、スポンサーがより多くの売り上げを上げるために視聴率が必要だと。結局は、お金のためにマスメディア全体が構成されている。これは構造的には欠陥ですよね。そんな中で、我々市民はマスメディアに触れているので、やはり心が汚染されていって、何のために生きるんだろう、働いているんだろうって。いつの間にか自動車ローン抱えて、今度は住宅ローン抱えて、いつの間にか縛られていて、いつの間にか安定的な収入を得るために安定的に働き続けなければいけなくて、どっちが自分の人生の目的なのかわからなくなってくるんです。ローンを返し続けることだったのか?そうじゃなかったのか?とかね。
ワダ:
クルマひとつとっても、究極は移動できればいいものを、そこに付加価値をつけたり、自分のステータスを表現するためのものにしたりと。高級ブランド品も全部そうだし、本当には必要のないものだったりする。そういうメディアの仕組みにしようと考えてる意志がどこかにあるんですかね?
マインドコントロール的なものだけど、戦略的にバラエティーとかそういう娯楽を与えて、ニュース番組もそんな形で、人々がそういうものを求めているからそういうことになっているのか、あるいは、意図的に何かことが作られているのか、どっちなんでしょうね。
関根:
そうではなく、純粋に資本主義というベクトルがあって、市場の見えざる手というものが存在する中で、お金儲けをしていくことが、せめてもの幸せになっていくというような、根本的な主義というものがあって、それが個々の会社に降りてきて、個々の会社は利益を最大化することが目的化しているんです。その中で従業員が生まれ、株式市場が生まれ、いろいろな形でその利益を最大化しようとする。そのひとつがコマーシャルであり、マスメディアになっているんです。その中心にあるのが、お金ベース、お金が豊かさであり、お金を多く得た人たちがより幸せだという資本主義の在り方そのものが欠陥だと思いますよ。
ワダ:
その中に自分たちがいるから、結果的に、そういうことが総合的に現れてくるということですね。
関根:
いろんなところに現れてきます。例えば、途上国の教科書で驚くべきことを目にしたんです。小学生の教科書の中で、これからダムを造ったら、こんなに社会は豊かになるとか、発電所ができたら、こんなに社会は豊かになるとか。山を切り崩して、川をせき止めてダムを造るような開発をしていくことが豊かになると。
アメリカでも、もうダムを造らないという法案が決まっていたり、実際に、日本でも熊本でダムは環境汚染をしている、生物多様性を失うということで、ダムは今なくなりつつあるのに、逆に、途上国では、教育を通じでダムを造ろうとする。そして大規模な開発をしていく、そこに先進国が援助する。または、無償援助もあれば有償援助もあり、有償援助は金利がついてくるんですね。
途上国ビジネスをしていこうという資本家または企業、国があるんです。そんな中で、資本主義的な一本ベクトルがあるということは、お金中心で、そして成長していくこと、経済が成長していくことが、人の幸せになり貧困をなくすことだというような絶対的な基準みたいなものが、全体的に世界中で共有されている。
先進国が先に成長しきって、そうじゃない地域、インド、バングラデシュ、ネパール、ブラジル、そういう地域にどんどん資本主義的な考えが広がって、同じようなプロセスで中流階級が生まれ、クルマに乗るようになり、みんな携帯電話を持って、ローンを抱えて同じような教育を受けて、そして資本主義の中に組み込まれていく。
途上国ビジネスのひとつで、例えば、ボトム・オブ・ザ・ピラミッド=BOPビジネスとかいわれていますけど、結局、新たなマーケットをいかに上手くつくりだして、商品を売るかっていう話なんですよね。だから、消費社会にどんどん人を組み込んでいく、マネーをその中に入れていくこと。全体的に見ると、倫理観とか、人々の生活をどうするかというよりも、ビジネスをどう進めるかという枠組みの中でのBOPビジネスが先行していたりします。
ワダ:
それはどこからのニーズ、欲求から出てきているのでしょうか?さっき、市場の見えざる手と言いましたが、みんな集団催眠にかかっている状態が生まれていて、それを世界の受益者が一番コントロールする力があるから、その中で利益を得ようという人たちが、途上国に投資して、こんな感じにしようとか、そうするともっとこんなに儲かるよねとか決めているんでしょうか。
ウォール街の占拠という、1%の富裕層に対する抗議運動が話題になりましたが、世界のそういう1%の人たちが、いろいろと話し合って決まったことが反映されているんじゃないかなと思うんですよね。
関根:
資本主義の中では、必然的に勝ち組と負け組が圧倒的に違う立場になるので、そういった意味では1%未満の人たちが、意志の決定者として存在して、開発なり国の方向性を決めたりしていく、これは実際に事実ですよね。それが資本主義の姿なので、例えばブッシュ政権の1年間で、格差ってすごく拡大してるんですよ。ブッシュ元大統領が8年間でやったことは、高額所得者に対する税制優遇をやったんです。だから、金持ちの立場が優遇されたのは当たり前で、金持ちが金持ちになることで、その金持ちが社会に再投資、または、寄付をすることによって社会がまともになるようなビジョンだったと思うんです。
でも、実はそうではないんです。逆に、貧困は拡大していったんです。だからベースとしてのお金儲け主義そのものに問題があると思うんです。一部の人たちが勝ち組になって、残りの大多数のほとんどの人が負け組になって飢え死ぬような。その結果一部が、2008年に起こったサブプライムローンの元になったんだと思うんです。
百万人以上もの人たちが家を失って、その家が数百ドルで売られていたりしてる。その人たちにとっては、大変価値のある大切な家が一瞬にして失われてしまう。それが資本主義の中にいるマネーゲームの中のお金を中心としてしまった、お金に頼りすぎた結果です。
お金が独り歩きして金融工学になり、誰も理解できない化物のようなものをつくってしまった。金融高額、マネーゲーム、実際には、自然界にはそんなものは存在しない、信用という価値をお金に閉じ込めて、そのお金自身が成長していくような、これはどこかで正さなくてはなりませんよね。お金そのもの、通貨、貨幣そのものが悪いとは思ってないんですけど、そのお金が膨張して行く仕組み、金利の仕組み、証券化、サブプライム、金融高額という分類のものは、もうどこかでベクトルを別の方向に変えていかなくてはならないと思うんです。
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いま本当の豊かさ、幸せとは何か、世界全体で議論されていると思う。

ワダ:
先物取引とかデリバティブとかギャンブルとどこが違うのかと思うこともありますよね。国際的に、法律でやめましょうとかできるはずなんだけど、やはり受益者たちがそれを決めているから、美味しいところは野放しにするだけなんだろうけど。
関根:
結局、なぜそれが必要になったかというと、小規模農業をやっていて、多品種の作物をつくっている人たちが世界全体の流れとして、大規模農業をすすめると国から補助金が降りるので、それをやることによって価格も下がるから国際競争力も高まる。だから、みんなこぞって大規模化していったんです。
その時、ある作物だけをダメにするような害虫が発生したり、何かの天変地異で水不足になったりすると、その作物が一気にダメになる。そのために先物という考えが生まれたりして、先にそれを全量買取りするよと、そこがまた巧みな仕組みで、株の投資の対象みたいになったんですけど、そういう目的があって生まれたことはわかるんですが、そもそも大規模化する必要があったのかということです。
ワダ:
なるほど。
関根:
天変地異とか、来年はこうなるからこの作物に力を入れておこうとか、もともとはそのコミュニティーの中や農場の中で、多品種を植えておけば、リスクヘッジは自分たちの力でできるはずなんですよね。だからそこも、大規模化すればいい、グローバル化すればいい、そうすれば儲かるという基準があって、どんどん農家がビジネスの方へ向きすぎてしまった。そこに金融が入ってハチャメチャになった。
埼玉県の小川町に、金子さんという農家さんがいるんですが、彼はその地域でエネルギーも含めて、ほぼ自給自足ができているんですね。彼は、今年来年、こういうことが起こるかもしれないから、やはり安全パイとして、別の作物を作っていたりします。
宅配で、彼と契約をしているお客様に届けるんですが、今年はこういう事情があったので、今回はこの作物を届けさせてくださいという説明をちゃんとされてるんですよね。
それって、やはり自然との付き合い方だし、その付き合いの中で、自分の農場をどうするのかと判断し、それが究極のところでいうと、循環型の社会のヒントだと思うんです。拡張して、勝った負けたでは、循環型になりえないですよね。
ワダ:
こういう問題は、この先解決していきそうですか?関根さんがされているいろんな活動を通して、これから変わっていく気配を感じますか?
関根:
もちろんそうです。確実にこの形の資本主義を変えていかなけえばならないと、真剣に考えて行動している人が増えていますし、少なくとも薄々感づいている人もたくさんいます。それは世界中の人が思っているんですよ。金融システムの在り方や資本主義の在り方についてとか。
先日、FRBのバーナンキ議長が、GDPに加えて、国民の幸福度を計る指標も、アメリカとして参考にすべきだという発言をしているんです。それから、フランス政府も、イギリス政府も、日本政府も導入する様なんですね。
日本政府においては、内閣府が国民の幸福度研究、幸福度という基準を取り入れるということを、ブータンのGNH=グロス・ナショナル・ハピネスを下敷きにしながら、日本なりの幸福度という指標を入れていこうとしています。お金中心の経済成長、金融中心だけでは、人は幸せになれなかったんです。確かに、お金で幸せになった人は大量にいるんですけどね。でも、多くの人はそれを享受していないんです。
人間にとって本当の豊かさ、幸せとは何かということが、今、世界全体として議論されていることだと思うんですね。実際に、いろいろつぶさに見ていくと、人が幸せになるって、実はお金じゃなくて、人と人との繋がりだったり、人と自然との繋がりだったり、誰かに必要とされたり、誰かにいいことができたり、何か違うものだということがわかったんですよね。そこに、たまたまお金という便利なツールが存在するだけなんです。
ワダ:
お金は、単純に物々交換のためのツールで、お金は何かの価値の交換のために媒介するものということだったり、そういう教育は今もされてないですよね。
根本にお金ってなんだろうと、普通に日常の中で関心を持つような仕組みになっていない。自分から意識してそこに関わっていかないと、それについての関心がある人だけが、それについて考えていく。教育の中に、もっと日常の中に、そういうことを考えることがあれば、もっともっと促進されていく気がしますよね。
関根:
究極的には、教科書を変えることだと思います。しっかりお金に対する教育をしていくこと。どちらかというとお金の教育についていうと、目立っているのは、証券会社が小中学校に行ってお金の教育をしています。
ワダ:
そうなんですか?それは小学生に株式投資を教える・・・とか、そういったこと?
関根:
結局は、そうだと思いますよ(笑)そっちが目立ってはいますが、他方で貿易ゲームというのを取り入れて、ゲームを通じて格差を知るようなこともされています。だから、この世界って、すごく同時多発的にいろんなことが起こるんですが、これからもそういうゲームをやっていこう、こういう仕組みを維持していこうとする人たちもいれば、いや違うんだ、違うお金の価値を作っていかなければいけないし、資源を使い尽くすような資本主義のスタイル、一部の人が豊かになるんじゃなくて、みんなが幸せになれるような資本主義の形、または、違うスタイルに変えていかなければいけないんだという様にして、教育の現場で頑張ろうとしている人たちもいるし。社会人と一緒に勉強会をやっている人たちもいるでしょう。もう想像以上に、いろんな人たちがいろんなことをやっているんです。それを今、この瞬間から広げていけばいいだけだと思うんです。僕は、あまり悲観視はしてないんです。

意識の芽生え・・・この話は、君のリングを鳴らしたか?

関根:
日本は、2011年3月11日、震災後に原発の事故があった。そのために原子力、核兵器というものが改めて問題視された訳です。ただし、その技術の研究が始まったのは1900年ぐらいからなんです。実際に使われたのは1945年ですが。だから、今からすると1900年って100年前位ですよね。要するに100年経つと、ここまで社会の在り方、在り様が変わるんです核兵器が生み出される前後、原子力発電が生み出される前後では、まるで違う世界なんですよね。だからわずか1世紀で劇的に社会っていうものは変わることができるんです。変えてきたってことですよね。変化のスピードがインターネットなどの高度な情報通信網によって、ものすごいスピードで変わっていくわけです。それは、1世紀前とかと比べると、まるで違います。だから、今この21世紀に入った我々人類が手にしている技術を駆使して、力を駆使すれば、どんな社会でも創れる。後は、選択をするだけだと僕は思っているんです。
特に、産業革命なんですよね。産業革命前には、ルネッサンスがあって、人間が自由に発想して、自由に想像して、神という前提をなくしたのかもしれませんが、とにかく、科学というものが発展して、産業が発展して、ものすごいスピードで産業革命以降、社会の変化のスピードが早くなっていったんだと思うんです。その結果生み出された問題、それは、大量破壊兵器だったり、国家間の争いが激しくなったりとか、これまで人類が経験したことがないくらいの人の数が、億人単位で人が亡くなるようなことが起きてしまっているんですね。これはかつてないことだったんです。
技術の発展によって、科学の発展によって、人口もより早く増えることができるようになった。人口が今70億人ですよね。2000年くらいで何億人いたかなと思うと・・・・。
ワダ:
今世紀末に100億人突破すると言われています。
関根:
そうですよね。だから、その変化のスピードがどんどん上がっていくに連れて、人口がさらに増えていって。もちろん、高度な医療技術によって人も死ななくなっていくし。そうすると、この限られた地球上の資源を奪い合う人たちが、今後わずか数十年で、30億人増えるってことですよね。その人たちがやっぱり資源を使うので、より多くの山が崩されて、森が崩されて、川が汚染されて、そして今、日本も領土の問題を抱えていますが、国境問題をさらに抱えていくことになる。だから、直面している問題っていうのは、想像以上にこれからより悪くなっていくっていうのが、現実を見つめると出てくるんですよね。
これから数十年先にやって来るだろう、より多くの危機に対して、私たちはどう行動して行くのかというビジョンを持って向かっていくことは、もう待ったなしの状況だと思っています。ただ、希望はある、未来は変えられると思っています。
ワダ:
ひとりひとりの意識の芽生えはすごく起こっている気がしますね。
突然人間が、ポーンとシフトするようなことが起きつつあるような気がしています。その究極の現象として、社会のいろんな問題が吹き出しているような。そういう意味ではこの状況を希望的にみて、みんながインターネットとかで誰でも情報を知れるようになって、それぞれ考えていていたりするんだと思うんです。そこに期待するしかないって部分もありますけど。だから、関根さんの活動とか、もっともっと多くの人がこういう活動に関心を持って、関心持つだけで変わってくると思いますね。
関根:
よく英語で「この話は、君のリングを鳴らしたか?」って言うんです。チャリンチャリン、チリンチリンっていう、その音が聞こえた人はビクッとなって行動を始めたりとかね。「目からウロコ」っていう表現が「チリンチリンって鳴る」みたいな。今その目覚め、コーリングが起きるという感覚を、自分自身で感じた人は、起きっぱなしになるでしょうね。
目覚めの時代、それはおそらく偶然ながら今年、日本人なら震災を経験して1年経った2012年を境に、どんどんこの状況を変えていこうと目覚めていく、そういう全体の感覚が政治にも反映されていくと思うんです。今、大量の人がデモに行ったり、まさにチェンジをしたいっていう目覚めですね。それは命をないがしろにして、儲けのためになんでもやってきてしまうという考えを変えていきたいと思ってる。それって正しいですよね。
ワダ:
壺の中の食べ物を取ろうとして、壺に手を突っ込んで、手が抜けなくなる猿の話がありますが、今の資本主義の世界に留まろうとする人たちにはそういうところがあって、やっぱり手放せないでいる。そのままでいるのか、あるいは、手を放して新しい世界に行こうとするのか、そんなイメージがよく湧きます。
関根:
よくわかります。
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人生を変えた 、パレスチナの少年との出会い。

ワダ:
関根さんが現在のような活動に至ったのは、何がきっかけだったんでしょうか?
関根:
多分、中学時代が最初かな。
ワダ:
何があったんですか?
関根:
たまたま、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」を読んだんです。当時でいうと農薬の被害によって、朝ある時起きたら鳥は鳴かないし、虫もいないしっていう、死んでしまった場所のことを、ただ淡々と書いてあるんですよね。このままいったら地球はボロボロになって、人間は住めなくなるっていう危機感を、何となく覚えたのが中学生の時です。それで思ったのは、ああ、これからは宇宙だなと。それで、宇宙工学にすごく興味を持って、宇宙のことを勉強しようかなと思いましたね。そこがスタートです。何となく、ぼんやりと。
ワダ:
高校とかは理系でしたか?
関根:
高校は理系で、大学は理系の環境学をやる予定で大学に進学したんですが、すぐ挫折して経営学になってしまって・・・・(笑)
ワダ:
そう考えたら、今は融合されてますね。起業することもそうだし。大学には入り直したんですか?
関根:
いえ、アメリカの大学って、専攻をいつでも自由に変えられるんですよ。
ワダ:
高校卒業からすぐアメリカへ?
関根:
はい。
ワダ:
ということは、高校の時からアメリカの大学に行こうと?
関根:
高校2、3年生の時かな。行こうって決めて。突然行きました。
ワダ:
周りにそういう感覚を持っていた人はいたんですか?
関根:
姉がカナダに留学していたのと、同級生がアメリカに高校留学したんですよ。身近にあったので行っちゃおうかなと。
ワダ:
なるほど。そもそもレイチェル・カールソンに興味を持ってしまうとか、その背景がさらにあるような気がしますが・・・笑
例えば、ご両親がそういうことに興味をもっていたとか。
関根:
母親によく飢餓のこととか、アフリカの貧困のこととか呪文のように言われていたんです。よく食べ残していたので。「何なのあなた!」って。「この世界にはね・・・」って、そこでいい意味で洗脳されたんだと思いますね。
ワダ:
関根さんが食べ残しているから、それを食べさせるために「世の中にはこういうことがあるのよ」ってお母さんは言ってたのか、それともお母さん自身そういうことに関心があったんでしょうか?
関根:
ありましたね。僕なんかが、こういう寄付のプロジェクトを始めるかなり昔から、寄付とかやってますから。チャリティーパーティーとかね。だから、寄付でいうと大先輩です・・・笑
ワダ:
お父さんも一緒に活動していたんですか?
関根:
どうなんでしょう?どっかで社会に役に立ちたいというのはありますね。クルマ関係の仕事をやっているので、交通事故に遭った方のサポートのような寄付を市に対して、寄付金を募るみたいなことを毎年やっていますね。
ワダ:
そういうところに、きっかけみたいなのがあったんですね?
関根:
精神的なベースはもちろん、家庭環境があって。
ワダ:
なるほど、アメリカの大学を卒業して、すぐに日本に帰って来たんですか?
関根:
大学時代に、州政府で貿易の仕事のインターンをしてたんですけど、そのインターンを経て、日本に帰ってこようと思って。貿易の仕事をしていて、日本のことを何も知らないと痛感しました。やりたいことはワインだったので、ワインの商社でも立ち上げるかみたいな、そういう企画を決めて。それで地球半周の旅にでて。
純粋に、新しい文化とか、人とか、宗教とか、街並みとかにふ触れるのがすごく楽しくて。特に大学の時は、アメリカの中をめちゃくちゃ旅しましたね。後、中国に交換留学していたんですね。
ワダ:
アメリカからですか?
関根:
そうです。僕はその時アイデンティティーがごちゃごちゃだったんです。日本人だけど、アメリカの大学にいるから交換留学してきた日本人みたいな・・・。お前だれって言われると困るんですよね(笑)自分でも困って。全く国籍がわからなくなって。そんな状態で中国も学校に行きながら旅をして。中国の奥地に入っていくときつく責められるんですよね。要するに戦争の頃のことで。
2泊3日くらいの川下りの船に乗ったんですね。外国人1人で日本人1人で、あとは全員中国人で、一番安い農民とかも乗ってるような船で。そこの甲板で囲まれましたよ。
ワダ:
へ〜。。。日本人がいるぞってことで?
関根:
そうでしょうね。日本人だって途中でばれて、十数名の大人と子供に囲まれて「お前は日本人か!」って感じで来て「そうだよ」って(笑)子供たちが「えっ、人間なの?」っていう発言ですよ。
ワダ:
そうなんですか!?
関根:
「いや、人間だよ」って。それでコミュニケーションがとれて「あっ、そうか。日本人も人間なんだ」って納得してもらったみたいで(笑)
ワダ:
へえー。
関根:
結局、船のレストランのおばちゃんに食事をご馳走になったりとか。自分にとって、国籍ってなんだろうとか、人間ってなんだろうとか、何だかすごく考えさせられました。でもやっぱり、人と人との関係の中では一緒だなとか。
ワダ:
「日本人って人間なんだ」って言われるのは、日本人が昔相当ひどいことをしたという記憶が、ずっと受け継がれているんですかね?
関根:
要するに、日本人は悪魔ってことですよね。心がないって。中国人とは違うと。だからそういうこと1つ1つを知ることって新たな発見で、もっと知りたいと思ったし。アメリカ留学の前にもホームステイしてたんですけど、とにかく日本軍と戦った人たちのお父さんの家に泊まっていたんですね。だから、ジャップっていう表現でしたしね。その頃の話も聞きましたよ。
留学中、中国の上海に留学していて、現地の大人たちとすごく仲良くなって、ようやく2週間くらい経った頃に、ようやく戦争の話をしてくれたんですね。実は親戚が・・・とか、おじいちゃんが亡くなってね・・・とか。ケンジとはこういう関係ができて、こういう話ができるようになってきているけど、本当は辛かったんだ・・・とかね。
日本人も人間だっていうのはわかってるし、君が責任がないのはわかっているからって付き合ってくれるんですよね。そんな発見の旅を沢山しようと思ったんですよ。ヨーロッパも行ったし。一通りヨーロッパなんかもまわった後、それで卒業旅行は地球半周の旅に決めたんです。トルコから日本まで、ユーラシア大陸を陸路で帰ってくる旅を企画して。
ワダ:
ということは、ウズベキスタンとかモンゴルとか。
関根:
そうです。でも計画はいろいろ変わって、すぐイスラエルに入って、そしたら今度はパレスチナのガザ地区に誘われて。全部一人で旅してますから。途中は誰かと一緒ですが・・・
ガザ地区に入って衝撃的な体験があったんです。ガザで出会った少年少女たちとサッカーをして、彼らに夢を聞いてみたら、そのうちのひとりが戦士になりたい。出来るだけ多くの敵を殺したいみたいなことが夢だって語る少年に会ったんです。もうそれ以上のきっかけはなくて。
ワダ:
関根さんの本(ユナイテッドピープル)にも書かれていますよね。おばさんがイスラエル兵に殺されたという。そういう子は多いんですか?
関根:
いえいえ、そこまで言ったのは一人だけです。後は、どうにかして欲しいっていうストレスや怒りを抱えていたりとか。でも、子供たちに聞くとその多くは、学校の先生になりたいとか、お医者さんになりたいとかばっかりですよ。
ワダ:
でも普通の子が、そんなことを思っているっていうのがすごい!
関根:
想像を絶する世界なんです。小学校とかも空爆されてるんですよ。もちろん国連の施設も政府の建物も、様々なものが空爆されてるんですよね。だからそこに残るのって絶望で、その絶望の隙に武装グループがすっと心に入ってくるんですよ。戦うぞっていって。子供たちにトレーニングしちゃうんですね。
ライフル銃、爆弾の開発、ミサイルの開発。だから極限状態で出てくるひとつの結果なんですよね。そういうことって、日本もやったじゃないですか。神風特攻隊とか玉砕とか。全員が死ぬようなことをしなさいといって。極限状態って、いろんな結果が出てきちゃうし、精神状態が正常値と全然違うんですよね。そういう極限状態の中で、今この瞬間に生まれ育って、難民3世、4世となって、一部の子供たちは事件も実際に起きて、直接的な憎しみや悲しみを持ってトラウマを持ってしまう。これって他人事じゃないんですよね。かつて日本もそういうことがあったし、中国でも起きたし。韓国でも起きてる。世界中いろんなところ、いつどこで起こってもおかしくない。それに市街戦ってすごく怖いですよね。普通の人が住んでるところでやるから、誰が死んでもおかしくない。そういう現実をたまたま見てしまって。
戦争を止めたいです。通常の兵器が、刀がピストルになって、ライフルになって、機関銃になって、爆弾になって、原子力爆弾、核爆弾になっちゃって。似たようなものが原発だとすれば、野放しに見て見ぬふりをして、このまま行けばどうなるか。この社会って本当に不安になりますよね。
ワダ:
例えば、関根さんのような体験をして、世界を何とかしようっていう思いで起業していく人は、なかなかいないですよね。
関根:
まず目の前で、爆弾で大量の人を殺害したいって言った少年に会って、リアルを感じない人はいないと思うんですよね。その行動の結果として、どんな人になるかは人それぞれだと思うんだけど、少なくとも影響を受けますよね。
自分が行動してる時って、あまり理由なくやってるじゃないですか。自然体でいられるっていう行為をしている、思考がそういう思考になって行動してる。だからあえて、いろいろ自己分析をしていくと、頂いた命なんですよね。預かったというか。すごく難しいんですよね。自分が生きていながら、そこに留められないというか、留めてはいけないような感覚というか。
実は4歳の時に、僕の友達が、目の前で交通事故で、クルマの下敷きになって亡くなってるんですよね。だから、その体験が僕自身の命、生命を最大限に活かそうっていうことを、亡くなった彼のためにも活かそうっていう考えと、そもそも、限られた命っていうことを4歳の頃に植えつけられてるって思うんです。ある意味トラウマですけど。
自分のためだけの人生って興味ない、生きてる時間って本当に短いですよね。今70年、80年くらいでしょうけど、いつ失われるかわからないし、この40億年ともいわれる地球上の中でいくと、ほんの一瞬で終わる人生の中で、どう命を輝かせて、人類でいくと数百万ですけど、その数百万の中に全員が繋がっていて、全員が先祖で、たまたま花開いたこの命を、次に繋げていくために、どう輝かせて、いい先祖になるかって思った時に、最大限今現世に生きている人間のひとりとして、命を輝かせて、最大限のことを未来のためにしたいという感覚ですかね。
僕はたまに、宿命と運命を感じるんです。だけど、どちらかというと運命の方が強くて、このパレスチナで出会った、目の前でおばさんが殺害されたっていう少年が、おばさんを亡くした年齢が4歳だったんですよ。
地球の裏側で、たまたま真剣に向き合って話して、実際人生を変えていますからね。彼の4歳の頃の体験は、彼に憎しみと悲しみを残したと。でも、僕にとってはもちろん悲しみもですが、希望も残ったと思うんです。何かしていきたい、どうにか輝かせたい、この社会を良くしていきたいって。
地球の裏側で、こっちは平和で、向こうは紛争で、同じ4歳で、彼と世代は違いますが、不思議とリンクして。こんなことがたまにあるんですよね。

アジアの時代。福岡から世界、アジアを見てみたい。

ワダ:
最近、本社を福岡に移されましたが、その理由はどいうことだったんですか?
関根:
ベースにある考えは、もともと東京にいて仕事をするのはやめようと思っていたんですね。横浜で長く会社をやって、その後は千葉に行って、東京は外していたんです。そして、自然と距離を縮める生活、農業的というか、農作物も作りながらっていうライフスタイルでより自然に近いところで、より東京と距離のあるところでやっていたんですね。もう一つは、東京に向かずに仕事をしようと思っていたんです。
明らかに地域分散型社会が必要になるし、地方というところがベースとなって、そこで経済コミュニティーが成り立って、グローバルに社会を展開していく流れとして、逆にローカリゼーション、地域化っていうところが、これからの社会の在り方の答えでもあるし、それを目指して行かなければならないと思うんですよね。
だから、資源収奪型の、どんどん収穫していく、どんどん開拓していくっていう成長ではなくて、その地域の中でお金を回し循環させ、雇用を生んでエネルギーを作っていくような、そういうベクトルがある中で、地方地方に行こうっていう考えのベースが常々ありました。
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後は、国境を超えていこうっていう考えもあって、これはグローバリゼーション、ローカリゼーションの考え方とは少し軸はずれるかもしれませんが、国境のある世界、国がある世界はこれから変わっていくと思っているんです。今パスポートを持って、全世界の人が行き来して、パスポート持ってない人もいるんですが、よりその交流が深まって、EUが生まれたように多分このアジアもパスポートなしで行き来ができるようになる時代って到来すると思うんですよね。だから、国境って今たまたま、特に、日本は島国なのでありますけど、かつてはロシアと中国と日本の間の日本海と言われているところは、渤海って言われたんですが、この海を中心に経済は回っていたりとか。だから、見方によっては全然違う世界があって、そうすると日本からするところのアジアの玄関口って、やっぱり九州の福岡だったりするんですけど、ここから世界を見てみたい、アジアを見てみたいっていう感覚もどこかで持っていて。
ワダ:
なるほど。
関根:
だから、この日本に限らず、これからは韓国での映画配給ということもやっていくでしょうし、中国もそうですけど。国にとらわれずに生きていくっていうことを思っていました。そんな時に、東日本大震災が起きて、東京の直下型地震が来るというような話もある中で、総合的に考えて、もう行こうと、それもしがらみというか、経済的に地方都市に行ったらどうなるのかっていう不安は多少あったかもしれませんが、十分な決断する時期となりましたよね。
ワダ:
興味深いですね。福岡はアジアの玄関口として、今どんどん開けて、博多駅とかでは韓国語も、中国語もアナウンスされてるし、東京より圧倒的に近いし、そういう意味ではすごい可能性を秘めていますね。
関根:
博多から釜山に行こうとすると、船で3時間弱なんです。飛行機で行けば数十分ですよ。だから感覚が変わってくるんですよね。アジアに向き合う、世界に向き合う。
この九州という島だけで自給自足ができるぐらい食料も豊かで、海ももちろんあるし。博多はとにかく、空港のアクセスが抜群なんで、博多駅から福岡空港まで10分、15分ですからね。驚くべきアクセスですよ。
ワダ:
いざとなれば、東京へも、海外へも瞬時に出れる。そう考えると、福岡はまだまだこれから発展していきそうですね。発展してもらっても困るんだけど・・・笑
街はすでに大都会だし。
関根:
ポテンシャルありますよね。若い人も多いし。
ワダ:
今後、アジアに向けて具体的にやっていこうと思ってることは何ですか?
関根:
まず、韓国に支社を作りたいんです。そういうことをしないと、多分スタートしないですね。思い切って、事務所を作っちゃうくらいやらないといけないなって思ってます。
まずは韓国ですけど、ネットでの映画配信もできるので、国境の隔たりはネットで超えられちゃうので。
ワダ:
映画だけではなくて、今後、事業の立ち上げの構想が何かありますか?
関根:
ネットでドキュメンタリーを見せるようなこともやるでしょうね。多言語化しながらっていう。
ワダ:
関根さん自身も、何か制作していくことは?
関根:
そうですね。まだ準備段階ですけど、映画の制作を来年の夏までに向けて、1本撮ろうかなと思っています。
ワダ:
今後が楽しみですね!ますます期待して、今後もウォッチさせてもらいたいなと思います。いろいろとまた教えてくださいね。
関根:
よろしくお願いします。
ワダ:
今日は、たくさんお話を聞かせていただいて、ありがとうございました。
関根:
こちらこそ、ありがとうございました。
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【取材後記】

関根さんのことは、ネット募金のイーココロをの存在を知った頃から興味を持っていた。たまたま友人が関根さんと面識があったり、比較的近いところにいたけれど、直接出会うきっかけが無く、その後、昨年311が起きて、原発事故が起こり、震災の被災者への支援活動とは別に、脱原発へ向けたアクションを何とかしていきたいと思っていたところに、関根さんのユナイテッドピープルが配給する映画『第4の革命』が公開されることを知り、すぐに岡山での上映会を企画し、上映することとなった。その流れで関根さんと親しくなり、『第4の革命』の公開の時に、カール・フェフィナー監督が来日するというので、このクエストカフェでもインタビューさせてもらうことになった。

関根さんは、現代の社会に疑問を呈し、理想的な社会へのビジョンを描きながら活動していて、今の社会のシステムから距離を置きながら関わっていくところは、ある意味でアウトロー的で、そういう面では僕にとても似ているところがあるように思うんだけれど、とても戦略家で、押さえるところをきっちりしていて、そういうところは僕にはなかなかできないところなので、すごいなと思いつつ、やはり社会を変革していくムーブメントを創っていくには、現実的な部分をしっかりと動かしていかなくてはいけないと、学ばせてもらってもいるのです。

このインタビューを読んでいただいてもわかるように、関根さんは、ものすごく勉強されていて、世界の問題についての独自の知見を持って活動していることがよくわかります。僕はインタビューでも質問したのですが、やはり多くの人が世界の問題を自分の事としてなかなか捉えられないことに、目の前の現実では無いことだからだと思うのです。でも、そのことを身近な問題と感じられるように、まずはそうした事実があることを知り、その立場に立ってみて、意識的に考えて見る時間が必要だと思うのです。そうして、何か感じたところからでいいから行動してみる。それは小さな募金だったりするかも知れない。いまの世界の問題は無関心が最大の問題で、その無関心は、いま日本の政治がこんなになっているように、いまの日本、いまの世界を創っているのも、その無関心からです。

僕たちは、もっと世界に関心を向けて、知らなければ、まず、知ることから始める。そして、より良い世界を築いてく一歩を踏み出していくことが大切です。なぜなら、その一歩が自分の人生をもより良くして行くからです。

関根さんのユナイテッドピープルが素晴らしい映画をたくさん配給されています。ぜひ、機会があれば、上映会などで見ていただき、また、仲間を集めて上映会など企画して、多くの人と世界の様々なことについて、意識を共有していけたら素晴らしいと思うのです。

関根健次 プロフィール

ユナイテッドピープル株式会社
代表取締役

1976年生まれ。ベロイト大学経済学部卒業(米国)後、主にIT業界に勤務。2002年にユナイテッドピープル株式会社を創業し、世界の課題解決を目指す事業を開始。募金サイト「イーココロ!」やネット署名サイト「署名TV」を運営。2009年からは映画配給事業を開始。2011年からはUFPFF 国際平和映像祭を開催。NGOエクマットラ日本窓口を担当。2011年4月にはエクマットラと共にストリートチルドレン支援目的のレストラン「ロシャヨン」をバングラデシュ、ダッカにオープン。2012年にはInterFMスペシャルプログラム「UNITED FOR PEACE」で番組MCを担当。著書に「ユナイテッドピープル」。

● 受賞歴
2011年:iSB公共未来塾 横浜地区 第3回社会起業プランコンペ最優秀賞
2007年:イーココロ!事業にて第2回「ソーシャル・ビジネス・アワード」 にて マイクロソフト奨励賞受賞。

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